子ども会とESD ー「おとな×こども」みんなで学ぶSDGs報告ー

本事業は令和7年度 岡山ESDプロジェクト活動支援助成金を受けて実施しました。

子ども会でESDは可能なのでしょうか。
しかも、中学生が「実践」まで担うことはできるのでしょうか。

本プログラムは、その問いに対する2年目の試みです。

ESD(持続可能な開発のための教育)は、理念や知識の理解にとどまらず、現実社会の課題を自分ごととして捉え、行動につなげることが求められます。しかし、地域の任意団体である子ども会が、どこまでその水準に近づけるのかについては、慎重な設計が必要だと考えています。

本事業では、「アート・自然・環境」を軸に、体験と実践を往還する構造を組み立てました。


2年目の設計

プログラムは三段階で構成しました。

第一に、事前学習です。
直島をはじめとする島々の歴史や地域との関係性を学び、単なる観光ではなく「地域の文脈」を理解する時間を設けました。

第二に、体験学習です。
豊島、犬島、直島を訪れ、産業廃棄物問題の資料館見学、島民との懇談、海岸清掃、アート鑑賞、自然体験を行いました。重視したのは、説明を受けること以上に、現地で暮らす人の声を直接聞くことです。人口減少や産業構造の変化といった課題は、統計や資料の中にあるのではなく、誰かの生活の延長線上にあります。その実感を持つことを目的としました。

第三に、振り返りと実践です。

2年目の特徴は、この「実践」を明確に組み込んだ点にあります。


中学生による屋台企画

転機となったのは、中学生からの提案でした。

「自分たちで屋台をやってみたい。」

体験学習で訪れた豊島の規格外レモンを活用し、地域イベントで販売する企画です。レシピを検討し、価格設定を考え、材料費をどう確保するかを議論しました。

ここで終わらせなかったことが、今回の実践の核心です。

中学生は自分たちで地域の大人に企画の意図を説明し、商品のプレゼンテーションを行いました。試飲も用意し、なぜこの取り組みを行うのか、どのような学びを得ているのかを自らの言葉で伝えました。その結果、協賛という形で材料費の支援を得ることができました。

この過程は単なる資金集めではありません。
自分たちの活動を社会に説明し、理解を得て、協力を取り付けるという経験でした。言い換えれば、小さな「社会との交渉」だったと言えます。

販売当日、レモネードは完売しました。
しかし重要なのは売上そのものではありません。

彼らは、地域資源が商品になる過程を体験しました。原材料費、仕入れ、価格、利益という基本的な経済の構造を、自分たちの活動として理解しました。そして、利益の一部を自分たちの報酬とすることも選択しました。

持続可能性を語るとき、環境や文化の保全は強調されがちです。一方で、経済活動は別の領域として切り離されることも少なくありません。しかし、地域が続いていくためには、経済的循環も不可欠です。今回の実践は、その側面を体験的に捉える機会となりました。


成果と限界

成果は明確です。

中学生は、体験を行動に接続しました。
アートや環境問題を「学んだこと」から「活かすこと」へと転換することができました。

一方で、課題もあります。

テーマの抽象度は小学生には高く、理解の段階には差が生じました。中学生も部活動等との両立が難しく、直前の参加変更が発生する場面もありました。また、離島での活動は天候の影響を受けやすく、日程変更も経験しました。

つまり、理想的な教育モデルではありません。
むしろ、不安定さを抱えた現実的な試行です。

それでも、設計次第で中学生が主体的に動く場は成立することが確認できました。重要なのは、体験を単発で終わらせず、次の行動へ接続する「出口」を用意することだと考えています。


子ども会という枠組みで

今回の試みでは、

  • 地域の現場を訪れる
  • 当事者の声を聞く
  • 自ら企画し、販売する(そして自分たちの利益も得る)
  • 公の場で発信する(SDGsフェア出展)

という一連の流れを経験しました。

子ども会は、学校でも専門教育機関でもありません。
だからこそ、学習と実践の距離を短くできる可能性があります。

これらは決して大規模な事業ではありません。しかし、地域団体であっても、設計と伴走の仕方次第で、実践型のESDは成立しうるという一つの事例にはなったと考えています。


今後に向けて

次年度は、年齢層ごとの理解段階を踏まえた設計をより丁寧に行う必要があります。また、参加継続性を高める仕組みも検討課題です。

それでも、「体験で終わらせない」ことは継続していきたいと考えています。学びを現実の行動に結びつける機会を、子ども会という身近な場から積み重ねていきます。

本記事は、その過程を外部に公開するための記録です。同様の取り組みを検討している方にとって、一つの参考事例となれば幸いです。

このような実践を継続するには、企画設計や地域との調整といった見えにくい作業も含め、相応の時間と労力を要します。同じ問題意識を持つ方がいらっしゃいましたら、活動の動向を見守り、必要に応じて応援という形で関わっていただけると心強く思います。

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